さかなか歯科|堺市北区北花田の親子で通える歯医者さん(小児歯科・予防歯科・審美歯科・インプラント)

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歯のマメ知識

知っていそうで実は知らない身近な口腔乾燥症

大藪 里緒

みなさんこんにちは🌷

堺市 北区 さかなか歯科

歯科助手の大籔です😃☘️

今年も、早くも半分を過ぎようとしていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

早速ですが今回は知っていそうで実は知らない口腔乾燥症についてお話しさせて頂きます🫧

口腔乾燥症が生じるメカニズムを知ろう!

口腔乾燥症とは?

唾液は、口腔だけでなく、全身の健康を保つために重要な役割を果たしています。

高齢者にとって、「唾液分泌量の減少(唾液腺機能低下)」と「”口が乾く”という症状(口腔乾燥症/ドライマウス)」は、摂食が困難になるだけでなく、さまざまな疾患や生活の質の低下を引き起こします。

唾液に含まれる成分と役割

唾液中の成分の組成は一定しているような印象がありますが、さまざまな状況により変化します。

人種や遺伝的要因、妊娠や疾患の有無によって異なり、生物学的なリズム、腺の種類、刺激の違いや時間、分泌速度、血漿成分、運動、ホルモン、薬物などの影響も受けやすいことが知られています。

唾液のに含まれる成分と口腔内における役割を整理すると次のようなものがあげられます。

口腔内における唾液の役割

唾液分泌のメカニズム

唾液腺は、副交感神経と交感神経により二重の支配を受けているとされています。

今後、新しい学説が出るたびに少しずつ見解が変わる可能性もありますが、下や口腔領域からの味覚刺激や機械的刺激によって脳内の唾液神経核が興奮すると、唾液腺が唾液を分泌します。

唾液が分泌するメカニズム

また、胃と十二指腸から生じる反射も唾液分泌を誘発します。

たとえば、強い刺激性の食品を飲み込むときや吐き気を催したときには、刺激性の物質を希釈、あるいは中和するために唾液が分泌されます。

唾液が分泌される際には、唾液腺への血流の増加を必要とするため、迅速に血管が拡張され、血液が供給されます。

そのため、疾患や薬剤により血流が阻害されると、唾液の分泌が低下し、口腔乾燥症を生じることになります。

口腔乾燥症が生じる原因

1.唾液腺疾患によるもの

大きく感染症、非感染症、腫瘍症の3つにわけることができます。

感染症としては、細菌やウイルスによる唾液腺管の腫脹、疼痛、排膿などが認められます。

非感染症としては、唾石(唾液腺にできる結石)や異物などにより導管が閉塞するケースがあります。

腫瘍症としては、良性腫瘍の多形性腺腫や、悪性腫瘍の腺様嚢胞癌、腺房細胞癌、腺癌などがあげられ、導管や腺房に影響を与える場合があります。

2.全身疾患によるもの

口腔乾燥症および唾液腺機能低下を伴う全身性疾患は多く存在しますが、代表的なものの1つにシェーグレン症候群があげられます。

その疾患は唾液腺内へのリンパ球浸潤により、腺房が変性、壊死、萎縮し、唾液腺の実質が破壊されて唾液の分泌が障害されることで知られています。

唾液腺に影響する可能性のある他の自己免疫疾患としては、リウマチ性関節炎、強皮症、全身性エリテマトーデスなどがあります。

3.薬によるもの

口腔乾燥症の原因のなかでもっとも多いのは、処方薬によるものです。

一般的な処方薬の80%は口腔乾燥症を引き起こすことが報告されており、400種類以上もの薬が副作用として口腔乾燥症を引き起こすことが知られています。

4.頭頸部放射線療法

放射線療法は頭頸部癌に対する有効な治療法とされていますが、口腔乾燥症を引き起こす可能性が高いとの報告があります。

特に漿液腺の多い腺房は、放射線感受性が高いため破壊されやすく、サラサラな漿液性の唾液が出にくくなります。

また、照射量に比例して、唾液分泌にかかわる後遺症が出やすくなると報告されています。

5.ストレスによるもの

唾液腺は副交感神経と交感神経により二重の支配を受けているため、感情や精神的な状態により、唾液分泌が大きく変化します。

緊張すると交感神経が有意になり、サラサラな漿液性の唾液の分泌をとめて、粘液性の唾液を分泌します。

逆にリラックスした状態では、漿液性の唾液の分泌が促進されます。

スポーツや仕事をやり終えたとき、温泉に浸かっているとき、映画や音楽を楽しんでいるときなど、心がくつろいでいると口が潤うのはそのためです。

口腔乾燥症がかかわる歯科的問題

1.口腔乾燥症とう蝕・摩耗

唾液腺機能の低下によって生じるもっとも一般的な口腔内の症状は、う蝕(むし歯)の発症と再発です。

唾液腺機能の低下が持続した場合、唾液の中和作用が機能しないために、口腔内のpHを中和に持続すること、および飲食物摂取後の微生物の増殖を抑制することができなくなります。

そのため、唾液量が不十分な状態ではう蝕関連細菌が集積しやすく、口腔内のpHが強い酸性に傾いたときに、容易にエナメル質が脱灰して歯の浸食が進行します。

さらに再石灰化に必要な唾液量が不十分な場合、歯が磨耗しやすくなり、外傷的な力を受けた歯の咬合面や切縁におけるエナメル質と象牙質も喪失しやすくなります。

口腔乾燥症患者によくみられる多数歯う蝕
同患者さんの舌、舌乳頭の萎縮を認め表面が平滑である
唾液量の低下によりう蝕が発生するメカニズム

2.口腔乾燥症と歯周病

通常、飲食物の摂取中、および直後は唾液分泌速度が速くなることで口腔内が洗浄され、口腔内の表面から食べ物の粒子が除かれます。

反対に、唾液腺機能が低下すると、食べ物の粒子が特に歯の隣接面と義歯表面下に残存しやすくなり、歯肉炎を引き起こすことがあります。

さらに長期間にわたる歯肉炎は歯周組織のアタッチメントロスを引き起こすため、慢性的に唾液の分泌速度が低下している患者さんでは歯肉炎および歯周炎のリスクが高いと考えられます。

口腔乾燥により唾液の抗菌作用が低下し、歯周病が進行している。
同患者さんの舌、舌乳頭の萎縮だけでなく、粘膜修復作用の低下から咬傷が残存している。
唾液量の低下により歯肉炎(歯周炎)が発生するメカニズム

3.口腔乾燥症と感染症

唾液分泌機能の低下は航空粘膜炎、疼痛、微生物感染を引き起こします。

微生物感染の中でも最も発症率が高いものは口腔カンジダ症です。

カンジダ症は真菌感染症であり、口腔内に常在しているカンジダ菌によっておこります。

口腔カンジダ症には、大きく分けて「口角口唇炎」、“紅いカンジダ症”である「紅斑性(萎縮性)カンジダ症」「肥厚性カンジダ症」“白いカンジダ症”である「偽膜性カンジダ症」の4つの臨床症状がありますが、他の粘膜疾患との鑑別も必要となります。

口角口唇炎
偽膜性カンジダ症
紅斑性(萎縮性)カンジダ症
肥厚性カンジダ症

4.口腔乾燥症と食べる機能の低下

安全かつ効率のよい嚥下を行うためには、唾液と食べ物が混ざり合うことで「食塊」という飲み込みやすい形が作られる必要があります。

そのため、唾液腺の機能が低下した患者さんでは嚥下運動を行うのに時間がかかり、嚥下障害が生じやすくなります。

たとえば、唾液が少なくなるとパンやスナック菓子などのパサパサしているものは口の中に貼りつき、白飯などは口の中でバラバラになって飲み込みにくくなります。

重度の口腔乾燥症患者の場合はガムが口の中で砂のように崩れていくといった現象もみられます。

そのような患者さんでは、喉あたりで食べ物が固まらず、誤って気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

唾液は食べ物と混ざり合うことで食塊を形成し、飲み込みやすくする。

また、義歯は粘膜表面の薄い唾液の膜によって接着能が増大するため、唾液分泌機能の低下により、義歯の不適合が生じ、咀嚼が困難になることがあります。

乾燥してもろくなった口腔粘膜組織は、外傷性の病変となりやすく、特に義歯装着者では疼痛による食べ物の摂取困難が問題になります。

唾液は義歯の接着能の役割を果たす。

さらに、唾液は食べ物を溶解して味覚を誘発する物質のキャリアとなることから、味覚において非常に重要な役割を果たしています。

したがって、唾液分泌速度が低下した場合には味覚も直接影響を受け、味覚障害をしょうじやすくなります。

唾液は味覚を誘発する。

口腔乾燥症にはどう対応すればいい?

一般的によく紹介されてる「唾液腺マッサージ」はどのくらい有効なのか

「唾液腺マッサージ」を行う場合、唾液腺の機能が確保されていることが必要であり、唾液腺そのものの破壊など、病状によっては効果が乏しくなります。

しかしながら、マッサージにより血流を促し、組織を活性化することで、必ずある程度の効果があります。

また、たとえ重篤な唾液腺障害があっても、保湿剤等を用いて、口腔粘膜を刺激することで口腔カンジダ症や味覚異常、粘膜異常の予防にもなり、口腔ケアの意義づけにつながると思います。

代表的な唾液腺、口腔粘膜のマッサージ(うがいなどで口の中を湿らせてから、指先に保湿ジェルをすこしとり行う)

この記事を書いた人

歯科助手

大藪 里緒 RIO OYABU

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