歯のマメ知識 子供の歯並びをゆがませる姿勢のクセ 2022.05.05 大藪 里緒 みなさんこんにちは🌷 堺市 北区 さかなか歯科 歯科助手の大籔です😃☘️ 日中は汗ばむ陽気となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 早速ですが今回は子どもの歯並びをゆがませる姿勢のクセについてお話しさせて頂きます🫧 歯並びをゆがませる姿勢のクセとは 歯並びに影響する要因のひとつに、日常的な姿勢があげられます。 なかでも睡眠時やリラックス時の姿勢である「うつぶせ寝・横向き寝(睡眠癖)」と「頬杖」は、歯列への影響が大きい“態癖”として知られています。 態癖とは わかりやすく言うと、口腔をはじめ全身に影響を与える「よくない生活習慣」のことです。 姿勢のクセが疑われる口腔のサインを知ろう! 些細な力で歯は動く 歯は、実はかなり弱い力でも動きます。 顎口腔系に50gの力が1時間加われば、骨の形が変わったり歯が動いたりすることがあります。 プロフィトの矯正学の教科書では「1日に6時間以上の力が加わらないと歯は動かない」とされていますが犬の散歩で毎日1時間、犬をショルダーバックで抱えていたり、テレビを見ながら歯ブラシを1時間くわえていたりする患者さんの歯が動いた例もあります。 1日1時間程度の間歇的な力でも、骨は大きな改造現象を起こすのです。 そう考えれば、睡眠癖や頬杖がどれだけ骨や歯に悪影響を与えるかが想像できると思います。 うつぶせ寝・横向き寝&頬杖がもたらす影響 睡眠癖や頬杖は、口腔だけでなく、顔貌や全身にも影響します。 これは子供だけでなく、大人にも共通します。 口腔への影響 歯列弓の変形 U字型だった歯列弓が、V字型やBox型に変形したり、狭窄したりする 歯軸の傾斜 左右や前方からの力により、まっすぐだった歯軸が内側に倒れる 薄い歯肉 口唇に力が加わると歯肉は徐々に薄くなり、歯根や歯槽骨が透けてくる 顔貌への影響 ・顔貌の非対応 ・低舌位による上顎の発育不全 ・下顎偏位 ・気道の狭窄、鼻炎、口呼吸 ・側頭骨、顎骨等の変形 全身への影響 ・頭の傾き ・全身のねじれ うつぶせ寝・横向き寝&頬杖が疑われるサイン では、うつぶせ寝・横向き寝や頬杖が歯列に与える影響を、子どもの姿勢と合わせて見てみましょう。 うつぶせ寝・横向き寝や頬杖をしていると、個人差はあるものの、加わる力の方向をそっくり写し取ったかのように、ゆがみが歯軸や歯列弓に現れます。 子どもの歯列にこうしたサインを見つけたら、態癖の存在が疑われます。 うつぶせ寝 うつぶせ寝をしていると、枕に当たっている歯列が直線状に押し込まれる。1歯だけでなく、複数の歯がフラットに内側に入り込んでいる場合は、うつぶせ寝が疑われる。 横向き寝 横向き寝をしていると、枕のあたっている歯列が舌側に入り込む。顔と枕の間に手や腕を挟む横向き寝の場合、挟まれた手や腕の形を写し出すように歯列が内側に倒れていく。枕が歯列にあたらないならば、横向き寝をしても問題はない。 頬杖 手で頬杖をしていると、手があたっている部分の歯が舌側に入り込む。 口腔のサインに気づいたらこう伝えよう! 態癖に気づかせる 態癖は無意識で行っているため、それを改善するには、まずは子ども本人に気づかせることが必要です。 その時に役立つのが生活習慣のチェックです。 寝ている時やくつろいでいる時などのお子さんの日常の姿勢を本人もしくは保護者の方に振り返ってもらいます。 テレビを見ながら頬杖をしていないか、寝ている時に横向き寝やうつぶせ寝をしていないかを詳しく書いてもらいます。 これに回答すること自体が、子ども本人が生活習慣を見つめ直し、態癖を自覚することにつながります。 日常のどのような姿勢が問題になっているのかを見つめるときは、具体例を出すのではなく、自身で見つけてもらうことが大切です。 態癖改善のための方法を提案する 日常での態癖を意識してもらう うつぶせ寝・横向き寝や頬杖をしているところを写真に残しておくと、自分がどんな姿勢をしているのか、子ども本人にも客観的にイメージしやすくなります。 ご家族の協力を仰ぐ 睡眠癖も頬杖も、子どもの場合は家族の協力が大切です。そのため、睡眠癖や頬杖の与える影響について、ご家族に理解してもらうことも重要です。 「うつぶせ寝をしているのを見かけたら、ひっくり返して仰向けにする」「横向き寝をして枕が頬にあたっているのを見かけたら、枕を頭の上方にずらして口腔にあたらないようにする」といったふうに、ご家族には、お子さんが寝ている時の姿勢に注意してもらいます。 おわりに 生きているかぎり、態癖とは共存していかなければなりません。 気をつけていても時間がたてば忘れてしまったり、無意識のうちに別の態癖でゆがみが生じたりというように、終わりがありません。 だからこそ、態癖がこんなにも悪影響を及ぼすことを知ってもらうことが大切です。 特に成長期の子どもには、態癖に気づき、気をつけてもらうことが健やかに成長する一助となります。 この記事を書いた人 歯科助手 大藪 里緒 RIO OYABU